フランケンとの出会い
コンビニにてタバコを吸っていたジロウ
この日ジロウは今月の支払いに向け給料の割り振り作業に追われていた
今月はたった５回しか打ちに行っていないのに負債額は２０万をゆうに超えている
もちろんそんな状況で余裕なんてこれっぽっちもない
返済以上に追われている現実
ため息と共に魂が抜けるように白い煙を吐いていた
小さな灯火を消しチャリンコにまたがるジロウ
すると３０メートルほど先に何やら黒い物体が蠢きながら近づいてくるのを発見する
それはまるでゾンビのような
フランケンシュタインのような
右に左に揺られながらボロボロの洋服を着た５０くらいの男性
人にもしもオーラがあるとするならば、こういうオーラもあるんだと思わされるような
それはそれは大きくて小さな負のオーラ
そんな衣をまとったフランケンが近づいていた
うわ怖っ！！！
素直な気持ちだった
そんなフランケンとチャリンコにまたがったばかりのジロウが交差した
そこでね
フランケンから話しかけられたの
内容はタバコを一本くれませんか？？と
んで、そんな第一印象からの一声だったものだから瞬間的にノーと答えたジロウ
この交差わずか１秒間の出来事だった
フランケンはジロウに断られた後コンビニの灰皿の周りにいる別の人に話しかけていた
その結果は知らないが、、、
チャリンコのペダルを踏みながらジロウは考えていた
なんで俺断っちゃったんだろうかな
別にタバコなんて一本と言わず箱ごとくれてやってもよかったのにな
いや、違うな
タバコなんてそもそも身体に悪いし吸ったところでまた吸いたくなるんだからあげたところで１ミリも彼の為にはならんよな
あげなくても彼にはむしろプラスに働いたからいいんだよ
はい
正解正解
んー
ちげえな
タバコどうこうじゃなくってさ
彼に対して優しさをわけることで彼が喜ぶ
それが大切だったんだ
それを俺はなんてケチ臭いことをしてしまったのだろうか、、、
そうだ
むしろタバコあげないで千円札を１枚あげてそのコンビニで好きなもの買ってねで良かったのではないか？？
たかだか千円で与えられるプライスレスにこそ意味があったんじゃないのか？？
あー
そうだよ
なんですぐに起点が効かねーんだよバカ
戻るか？？
でも恥ずかしいしな
俺余裕ないしな
いや千円なんてあってもなくても生活変わらない俺と、美味しいもの食べれる彼の千円の価値は全然違うだろ
戻るか？？
あー
うーん
こうしている間にチャリンコで進んでいるジロウ
今でもめっちゃ後悔してる
お金の使い方
人生の使い方
より豊かな命の燃やし方
あのフランケンよく見ると優しい顔してたな
鬱か、クスリか、それとも病気か
理由があって堕ちちまったんだろ？？
みんな色々な理由があって生きている
どうしても這い上がれない地獄にいればジロウ如きが引き上げられるわけがない
でもできること
たった千円でできることがあった
フランケンさん
また話しかけてね
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